夏といえば盆踊りですが、その由来や意味は知っていますか?
夏になると、地域や町内会、幼稚園などの夏祭りで広場の中央にやぐらを立て、そのまわりを音楽に合わせて踊ったり、夜店が出てにぎわっている様子、あちらこちらで見かけますよね。
しかし、『盆踊り』という名前なのにお盆の時期に限らず行われていますが、お盆に関係はないのでしょうか?
この記事では、
- 盆踊りの由来と意味
- 服装
- 代表的な盆踊り
をまとめました。
盆踊りの由来
盆踊りは、平安時代(794~1185年)中期に浄土宗を広めた空也上人によって始められた踊念仏が起源といわれています。
空也上人は念仏の功徳を広めるために、人が集まる平安京の東市や西市の門に立って念仏を唱えながら踊り、人々に念仏と浄土信仰を勧めたとされています。
この踊念仏は鎌倉時代(1185~1333年)には一遍上人が全国に広め、大ブームを引き起こしました。
その後、室町時代(1336~1575年)の初めには、お盆に帰ってきた先祖の霊を慰めるために鐘や太鼓をたたいて念仏を唱えながら踊るようになりました。
この頃から娯楽的なものへと変わり、宗教性よりも芸能に重点が置かれる「念仏踊り」が生み出されています。
そして江戸時代初頭には絶頂を極めることとなり、7月に始まり連日踊り明かしながら10月にまで続き
次第に盆踊りは、地域の人々の交流の場や男女の出会いの場になっていきました。
「踊念仏」と「念仏踊り」ともに時期を選ばずに行われていましたが、
これが盂蘭盆会の行事と結びつき、「盆踊り」となり、精霊を迎え、慰め、再び送るための踊り、また供養するための行事として定着しました。
それが地域の共同娯楽として、あるいは秋の豊年の祈りも込められるようになったのです。
盆踊りはこのように宗教行事として始まりましたが、現代では夏休みに行われる町内のお祭りや幼稚園などの行事、というイメージが強いですよね。
地域によっては夜店が出たりしてお祭りの雰囲気を強く感じますし、企業や地域の商店街などのイベントとして行われることも多くあります。
幼稚園で行われることが多いのは、幼稚園を運営しているのがお寺や神社であることが多いのが理由だそうです。
また、盆踊りは老若男女誰でも踊ることができるので、お盆の帰省中に祖父母が孫と一緒に出かけ楽しめる祭りとしての色合いも濃くなったと考えられています。
盆踊りの意味
ご先祖様の供養
盆踊りにはお盆の時期に戻ってきた先祖の霊を迎え慰めるという意味があります。
元々は、念仏を唱えながら踊る念仏踊りから、念仏を唱える人と踊る人がいる踊り念仏に発展しました。
この民族芸能が盂蘭盆会が結びついて、先祖や死者を供養するための踊りとして定着していきました。
このため盆踊りは、8月15日の晩から踊り始め16日が明けるまで踊り続けるのです。
16日が盆明けということから、賑やかに踊り歌って先祖を送り出すという意味もあったようです。
豊作祈願の盆踊り
盆踊りは、お盆に踊ることで帰ってきた先祖の霊を慰め供養するだけでなく、農作物の豊作を願うためでもあります。
これは、農業を主としていた日本ならではの文化ですね。
豊作を願うと同時に自然の恵に感謝する機会にもなります。
盆踊りの服装
盆踊りの服装は、伝統的にはやぐらの上の太鼓方、音頭取りならびに踊り子は浴衣を着用することが多いですが、一般参加者はカジュアルな平服でも良いです。
踊り手が同じグループである場合、揃いの浴衣を着ることがあります。
また、団扇を背中の帯に差し込んでおくこともあります。
男性は、鉢巻をし、腰に印籠をぶら下げて踊ることも。
地方によっては、狐などの仮面をつけて踊る場合や、舞台化粧並の厚化粧をして華やかな衣装で踊る場合があるんですね。
浴衣の着こなし
踊りでは、だらしなくならない程度に着崩れるのが粋、だそうです。
帯を締め付け、襟、肩の辺をきっちりし過ぎると踊る時に動きづらくなります。
また、慣れないと裾をさばくのが難しいところですが、
足元が筒状でなくやや末広がりになるように帯と裾の位置を決めると足元が楽になります。
履物
一般的には、下駄、草履いずれでもよいと思いますが、最初は軽い物の方が楽だそうです。
履きなれないと鼻緒に擦れて痛い思いをする場合もあるので、
足袋を履いたり、
鼻緒の芯を事前に揉んで柔らかくしておいたり、
少し前から履き慣らしておくと良いですね。
小物
扇子は踊りによっては用いる場合がありますので、
伝統系盆踊りにでかける時は常に携帯しておきましょう。
巾着
踊るときに貴重品などは巾着で身につけると良いですね。
他には和風バッグなどもあります。
代表的な盆踊り
盆踊りの代表的なものとしては、
日本三大盆踊りといわれる
阿波おどり・西馬音内の盆踊り・郡上おどりがあり、
特に徳島の阿波おどりは全国的な知名度を持つ最大規模の盆踊りとして有名です。
阿波踊り
“踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損損”というフレーズが有名な盆踊りです。
毎年お盆の時期に徳島で開催されます。
少なくとも400年以上の歴史があると考えられています。
江戸時代の徳島は藍の豪商が多く存在し、阿波踊りはどんどん豪華になっていったようです。
西馬音内の盆踊り
秋田県羽後町に古くから続く盆踊りで、野性的なお囃子に上方風の優美な踊りが特徴です。
編み笠や、目の穴を開けたのみで頭からすっぽり被る黒い彦三頭巾(ひこさずきん)で顔を隠し、浴衣には艶やかな衣装を着ます。
郡上踊り
岐阜県に伝わり、中世からの古い踊りの流れを汲みつつ、江戸時代頃から盆踊りとして始まったと言われています。
地元の人はもちろん、観光客も一つの輪になって踊ることができるのが最大の魅力です。
国指定重要無形民俗文化財にもなっています。
阿波踊りが盆踊りだったとは知りませんでした!
盆踊りの曲は、
東京音頭や炭坑節が全国的に有名ですよね。
地域によっても様々な曲が使われており、
- 北海道では北海盆歌や子供盆おどり歌、ソーラン節
- 東北では花笠音頭、相馬盆唄、ドンパン節など
- 関東では大東京音頭、八木節、江戸祭囃子などなど
- 東海・中部・北陸地方では越中おわら節やおわら風の盆、郡上踊り 郡上節など
- 近畿・関西地方では河内音頭や伊勢音頭、江州音頭などなど
- 中国・四国地方ではよさこい鳴子踊り、よさこい節など
- 九州・沖縄地方では博多祝い唄、火の国太鼓、エイサーなど
があります。
まとめ
現代では夏の風物詩、といっても良いほど夏になるとお盆に限らず各地域や町内会での夏祭りで必ず櫓が組まれて行われている盆踊り。
その由来は古く、平安時代に始まり、時代とともに形を変えて現代のような形になったのですね。
盆踊りにはやはりお盆と関係し、お盆の時期に戻ってきた先祖の霊を慰め送り出すという意味がありました。
それにもう一つ、農業を主としていた日本ならではの文化で、農作物の豊作を願うためでもありましたね。
盆踊りは櫓の上で太鼓を叩いたり踊る人は浴衣が多いですが、下で踊りに参加する人は一般的にはカジュアルな服装でも良いということでしたね。
私も平服で行くことがほとんどですが、子どもには浴衣を着せて連れて行きます。
いつの時代も夏になるとお盆の行事をし、季節の終わりに人々は盆踊りを楽しみます。
行く夏を惜しむのと同時に、戻ってきたご先祖さまを慰め送り出すという思いを持ちつつ
家族や故郷で再会した友人とともに今年も盆踊りを楽しみたいものですね。
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